サッカーを簡単にしてあげることがコーチの役割

 サッカーはカオスの連続です。
 つまり、不確定要素の連続なんですよね。手は使用出来ず、不慣れな脚を使う。丸いボール。相手の質。審判の質。グラウンドはクレーなのか、人工芝、天然芝なのか。リーグなのか、トーナメントか。観客はいるのか。天気は雨か。・・・など色々な不確定要素の中で正解を瞬時に導き出さなければならない難しいスポーツです。

 それなのに、コーチは「判断が遅いよ!」とか、「その判断でよかったか?」とか、たまたま上手くいった時だけ「そう、それだよ。ナイス」とか言っている姿を目にします。

不確定要素の連続なのに、瞬時に最善の答えを出せと言われても、不可能ですよね。
自分に次にパスが来るとして、どこに止めるか、その次のプレーは、パスなのか、ドリブルなのか、シュートなのか、パスならば、右足?左足?グラウンダー?ロビング?回転は?スピードは?・・など、その強度やスピードも判断材料にしたとすると、何千、何万という選択肢からたった一つの正解を出せということだからね。無理ですよ。

 だから、コーチはその選択肢をできるだけ簡単にしてあげるのが、腕の見せ所です。
 

 例えば、味方のサポートならば、その味方が、前向きならばその選手を追い越して前のスペースを狙うとしよう。でも、味方が、相手のプレスを受けていて後ろ向きならば、斜め下でパスをもらっても自分がプレスを受けづらい距離でサポートしよう。など

より一層に具体的なシチュエーションとそれに対する対応策をトレーニングで提示してあげて、選択肢を少なくしてあげる。脳の負荷を下げてあげることが大切です。

 よく「判断」と言いますが、サッカーにおける「判断」とは、脳科学的にな側面からみると「思い出す」の作業の連続らしいです。ヨーロッパでの各国代表クラスのプロサッカー選手のプレー中に脳のどの部分を使用しているか実験してみたところ、使用している部分は、「いくつかの選択肢を判断している」のではなく、「このシチュエーションならこうしたほうが成功しやすかった」という経験を思い出す作業をしていました。

 こうしたことを話すと、中にはそれはプレーの押し付けで、選手が考えることを阻害する指導で、本当に判断力は養えるのか?といった質問をされることがあります。
 これに対しては、逆に判断力を養うことになりますよ。と答えています。

じゃんけんが、グーチョキパーの三種類だから、相手が次に何を出すか予測しやすいように、選択肢を少なくして、それを徐々に増やしていく指導の方が選手はその状況をよく把握・分析できるようになり、結果、その選択肢の中で最良の答えを経験を踏まえて判断するようになります(簡単な設定の方が再現性も高く、同じような状況が何度も起こりますよね)。じゃんけんが、100種類以上あったら、次に出すのは本当に運次第になってしまいますね笑

 だから、私たちコーチの仕事は、カオスを分析して、いかに簡単な判断ができるようにトレーニングを組み立てるかということです。そんなトレーニングを毎日続けていれば必然的にたくさんの状況によった判断ができるようになります。坪井健太郎氏はこれを「戦術メモリー」と呼んでいますが、まさにこの戦術的な引き出しが日本人には欠けているのです。これを補えるトレーニングの構築を毎回目指して行きたいものですね。

※戦術メモリーについては坪井健太郎氏の著作「サッカーの新しい教科書」に詳しいので、ぜひご覧ください。
  リンクを貼っておきますので、よろしければどうぞ😀

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この記事を書いた人

サッカー指導20年以上。
国体、トレセンなどにも関わる現役指導者です。
少しでも有益な情報をお伝えしたいと思います。

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