サッカーにおいて、ドリブルは外せない個人戦術となります。
その中でも今回は運ぶドリブルについてお伝えしていきたいと思います。
スペースに運ぶドリブルはサッカーの中では重要な個人戦術の一つですよね。
「ドライブ」「コンドクシオン」とも言われるこの運ぶドリブルの成功率を上げるための方法ですが…
怒らないで読んで欲しいんですが、その答えは
「スピードを上げない」ことです。
そもそもドリブルには大きく分けると3種類(細かく定義するともっと・・)あります。
ー 3つのドリブルの種類 ー
- 突破のドリブル
- 運ぶドリブル(相手の困らせるドリ)
- 運ぶドリブル(相手を食い付かせるドリ)
1つ目の「突破のドリブル」は、皆さん想像しやすいですよね。
華麗なテクニックで相手を抜き去り、シュート・・・
みたいなサッカーの醍醐味とも言えるよりアグレッシブなシーンで見られるドリブルですね。
サッカーをよく知らない人にドリブルを想像してもらうと、まずこのドリブルではないでしょうか?
ただ、実際にゲームの中でこの「突破のドリブル」を使っているシーンは全体の中ではそんなに多くありません。
私のチームでもこのドリブルを使って良いのは、基本的にゾーン3(アタッキングサード)で1vs1の時としています。もちろん選手によっては、ドリブルが持ち味の選手には相手DFが2人でも行けそうならOKと個人裁量も与えていますが、基本はさっきの状況ですね。
それは、このドリブルは失うリスクが高いからです。
突破を目指すわけですからね。スピードも上がるし、テクニックも必要になる。となれば、やはりミスの確率が高くなるわけですよね。ミスの確率が高いプレーを自陣のゴールが近いところで実行するのはリスクが高すぎるので、私は禁じています。
ちなみに、それぞれのゾーンにおいての許容されるプレーも選手には伝えていますが、それはまた後日に…

さて、本題の「運ぶドリブル」ですが、これを私は2つに分類して学んでいます。
上記のように「相手の困らせるドリ」と「相手を食い付かせるドリ」の2つを定義しています。

まずは、「相手の困らせるドリ」ですが、
シチュエーションを想像してもらうと分かりやすいと思いますが、
カウンターの場面などで、相手の攻撃の選手がドリブルでどんどん侵入してきて、まだこちらの守備の枚数も足りず数的不利。
危険な選手のマークもあるし、ゴール前のスペースもケアしなければならない、できるだけ味方の帰りを待つために時間もかけさせなくてはならない・・・など、守備のDFはかなりの選択肢から最善の決断を下さなければなりません。
この時に、迷いなくプレスや全然違う選手にマークに行くなどしてくれると、攻撃側としてはやりやすいですよね。
ですから、守備はさらに迷うわけです。
と、この考えている時間は、相手の思考に負荷をかけて、足を止めていることになります。
ボールホルダーがかなりの主導権を握っているこの時間を作り出すことは、攻撃の場面においてはゴールへ近づくことになりますよね。
DFの足も止まっているし、頭はフル稼働してるし、状況的にも攻撃側の方がプレーの選択肢が多いのでね。だから、カウンターは有効なんです。
ですが、だからといってパニクっているDFばかりではありません。
こうしたシチュエーションの経験値が高いDFは戦術メモリーが多くあり、「この時はこうしよう」というプレーの引き出しが多いです。そんなDFなら脳の負荷も低いので、身体的な制限もより減少していることになりますよね。
そんなDFに一瞬でも、攻撃側がスキをみせてしまったら、すぐに攻撃のチャンスの芽をつまれてしまうことになります。
そのために、攻撃側の運ぶドリブルもスキを減らす。ミスを減らすことが必要です。
だから、「ドリブルのスピードを上げない」ことが重要なんです。
語弊があるといけませんが、カウンターなのでもちろん通常よりは早いスピードでしょう。
ただ、自分のコントロールができるスピードの上限を超えたスピードでのドリブルはNG!ということです。
前にスペースしかなくて、自分は足に自信があって、この間合いなら多少曖昧な感じでのドリでも抜けるという自信がある選手はいいんですが、カウンターだから、チャンスだからといって、無謀なスピードでのチャレンジは危険です。
カウンターはチャンスですが、カウンターのカウンター(カウンターの後の、相手のカウンターのことです)はめちゃくちゃピンチになります。(重心が前に行きかけているし、比較的守備もバランスが崩れがちな局面になっていることが多いので)
スピードは上げるが、自分のコントロール下におけ!
とよく選手にはコーチングしています。
すぐに止まれる。ターンできる。パスできる。シュートできる。…ような選択肢のあるドリブルです。
こんな選手にはなかなかプレスをかけづらいですよね。
同様に、「食いつかせるドリ」もスピードを上げさせません。
ー ビルドアップを成功させるコツ ー
ビルドアップの際、自陣深いところの食いつかせるドリは特に強くスピードの指示をします。
よく、ビルドアップが難しいという方がいますが、確かに難しいです笑笑
それでは元も子もないので詳しくは別に記載するとして、一つヒントをあげるとしたらドリブルです。
相手が前からハメてきている時には、全てをパスでビルドアップするのは難易度が高くなります。
なぜなら、大抵はマンマークになっており、次のパスを受ける選手はプレスを受けるからです。

これをずらすために、運ぶドリブル(食いつかせるドリ)をして、相手DFにボールに行くのか、マークを維持するのかを迷わせ(このフェーズは先程の困らせるドリ)て、
ボールに来たら、フリーになった味方を使う。来ないならもっと運ぶ。という選択肢を持つことが大切になります。
この時も早くドリブルするとミスの確率が高まります。しかも自分のゴールが近いため、失うと致命傷になりかねません。
ですから、スピードは上げるな!と強く指示するワケです。
もう一つ、そうさせる理由は試合のプレースピードを上げさせたくないからです。
選手にもよく話しますが、
「自分のスピードをあげると、相手のスピードも上がるぞ」と言って、無闇にプレーを難しくさせないようにしています。
当たり前ですが、自分が早く動くと相手もそれについてこよう、対応しようとして早く動きます。
レベルが高い選手の集団ならば、早くてもできるかもしれませんが、正確なプレーを早いスピードで連続することは高校生レベルではかなり難しいですよね。しかもそれを90分はなかなかです。
海外の選手が日本でプレーすると、日本のサッカーは早いという感想がよくありますが、
普段から指導者がプレースピードの緩急のつけかた。
これはドリブルとかではなく、まったりとプレーする場面とスイッチを入れて早く攻撃をする場面の使い分けを選手に伝えていないから、そういう文化があまりなかったからではないでしょうか。
そうしたことも踏まえて、サッカーにおけるスピードの重要性を伝えていくことは、今後の指導者人生の中でも続けていかなければならないタスクの一つになっています。
今日の内容が皆さんの指導のヒントになれれば幸せです。
ではまた。
※文中に出てきた戦術メモリーについては、坪井健太郎氏の著作「サッカーの新しい教科書」に詳しく記載されているのでこちらを激しくオススメします!! 下のボタンからどうぞ〜!
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